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■ 学会やセミナーどう質問したらうまくいくだろうか?

2012/9/16

質問をするときに、いかにクドくしないかは考える。放っておくといくらでもクドくなるから。「あなたかもしくは他の誰かがこれこれこういうことを確認していますか?」は「あなたはこれこれこういうことを確認していますか?」で充分。ほかの誰かがやってるなら後者でも答えてくれるから。

あと、前置きを言わないようにする。「ナイーブな質問かもしれませんが」とかは情報がないので単刀直入にいくべき。

「素晴らしい講演ありがとうございました。質問ですが…」もやらないことにしている。他人にやるなとまでは言わないが。どうやらこれは学会の文化に依るらしい。儀礼的なのは好きでない。そういうのは懇親会で個人的にやるべきだと思ってる。

質問の真意を説明する前に、具体的な問いに落とし込む。頭のいい人だと質問の真意を汲んでくれるし、そうでなかったら畳みかければよい。

今日はGrégoire Courtine (最近Scienceに論文出した)のセミナーだった。脊髄損傷ラットのFESによる機能回復の話。

素朴な疑問として「トレッドミル条件で尻尾を支えるのはなんで?」と聞こうと思ったのだけれども、もうちょっと質問を組み立てることにして、「尻尾はロコモーションにはどのくらい寄与するの? トレッドミル条件では支えているようだけど、overground条件では支えてない。両者の差は尻尾を活用してるかどうかなのでは?」としてみた。けっきょくクドいw

結果論だけど、Grégoire Courtineはむちゃくちゃよく分かっていて、一聞けば十返ってくる人だったので、この人に対しては「トレッドミル条件で尻尾を支えるのはなんで?」と聞けば充分なのであった。

素朴な疑問が浮かんだときにそれだけ質問すると話が広がらなくてつまらんので、ちょっと質問を組み立てることを考えるようにしている。高等研の研究会のときには「contagious yawningでは実験者があくびをするけど、それはvoluntaryなものだから、fake yawningだと思う。」とコメントした。

さらに、「どうしてfake yawningで充分contagious yawningが起こるのだろう?」と聞けば話が膨らんだかもしれないが、そうではなくて、つづきを「real yawningでcontagious yawningを調べたものはないのか?」というふうに問うてしまった。これはよくない。

後者だと「そんなものない」で終了してしまう。質問の意図は汲んでもらえず、議論も盛り上がらなかった。前者だったら、contagious yawningを起こすのに必要な要素は何か、みたいなもうすこし本質的な問題に届いたような気がしたんだけど。

クドくはしたくないが、つまらん質問にもしたくない。そんなことを考える。あともちろん、clarificationのための質問と、議論をするための質問は別で、今は後者の話をしている。あと、ラボセミナーとかで、講演者がちゃんと分かって喋ってるかどうかを確かめるための質問とかもある。

つまらん質問にならないように質問を組み立てて、「これに答えられないとお前の主張はひっくり返るよ」という風になるようにして、必死になって答えてもらえるように心がけているのだけれども、なかなかうまくいかない。学会でもラボセミナーでも。


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