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■ トップダウンの注意とボトムアップの注意を統合する大脳皮質ネットワーク

生理研研究会予習シリーズ続きます。現在京大の河野研に所属しておられる小川正さんが生理研の小松研の在籍されていたときのお仕事についてまとめておきます。

The Journal of Neuroscience, 2004, 24(28):6371-6382; "Target Selection in Area V4 during a Multidimensional Visual Search Task" Tadashi Ogawa and Hidehiko Komatsu

Experimental Brain Research 2006 "Neuronal dynamics of bottom-up and top-down processes in area V4 of macaque monkeys performing a visual search" Tadashi Ogawa and Hidehiko Komatsu

まずトップダウンの注意とボトムアップの注意ってなにかってことですが、刺激自体によって決まるのがボトムアップの注意です。たとえば、とても明るい、もしくは周りはみんな赤い点なのにその点だけ緑だとか。これを注意と言うか、pre-attentiveと言うかはまたいろいろ議論があるようです。そのへんの事情についてはvikingさんのブログで何度か採りあげられていると思います。いま検索したらこのエントリとか。いっぽうでトップダウンの注意というのはわれわれが自分の意志でもって行動の目的に向けるような注意のことです。だからgoal-drected attentionとか言ったりしますね。意識との関係が取りざたされるのはこちらです。課題の条件ではたいがいrewardおよび行動選択と結びつけられているので、それがtop-down attentionなのか、それともdecisionおよびaction selectionによるものなのか、といったことが必ずや問題となります。このへんは議論のネタのひとつとなることでしょう。今回の場合だと、V4はvisual cortexですので行動選択とかとは関係ないだろうから注意と考えて妥当だろう、という議論が成り立ちますが、それでも要旨の中では"top-down signal"みたいな言い方になっていたりします。

JNS 2004ではsearch taskを行ってV4からニューロンを記録しました。課題に関しては生理研のニュースリリースを見ていただくとわかりやすいですが、あるブロックではcolorに基づいたsearch (ひとつだけ緑のものを選ぶ、とか)、あるブロックではshapeに基づいたsearchを行います。Trialはいくつかに分類することができますが、重要な比較は4条件です。まずRF内の図形については色がsalientか形がsalientか('feature dimension')、それからtaskのrequirementによってRF内の図形がtargetになったり、distractorになったりします('search dimension')。よって、color-target / color-distractor / shape-target / shape-distractorの4条件を比較する、というのがこの実験の基本デザインです。

んで、明らかになったのは、この4条件で交互作用を持つニューロンが見つかった、ということです。つまり、たとえば、ニュースリリースの図Bのニューロンはcolor-target条件でいちばん強く活動し、活動の大きさはcolor-target > color-distractor > shape-target = shape-distractorとなっています。よって、ボトムアップの注意とトップダウンの注意はV4においてはたんにlinearに足し合わせれるのではなくて、ここで統合されている可能性があると言えるわけです。

つづきます。


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