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■ 論文いろいろ

Nature neuroscience 11月号

  • "Neural basis and recovery of spatial attention deficits in spatial neglect" Corbetta@Washington University。急性期と慢性期の患者での注意課題でのactivationをfMRI。Hans-Otto Karnath論文でhemineglectの原因部位がSTGであったことをふまえて、著者らは原因部位を"perisylvian region"と呼んでSTG-IFGを含んだ領域に損傷があるときにIPSやTPJでの活動がどう変わるか、というようなモデルを作っているようです。これまでのTPJ損傷説からのつじつま合わせに苦労している様子。PosnerによるNVあり。
  • "Induction of sharp wave–ripple complexes in vitro and reorganization of hippocampal networks" これについてはしげ日記で扱ってくれるのではないでしょうか。ギューリー・ブジャーキがNVやってますし。と下書きを作って放置していたら予想通りでしたね。

Science

  • "Observing Others: Multiple Action Representation in the Frontal Lobe" RizzolattiとOrbanでaction observationでnhpでfMRI。って英語混じりすぎですねこりゃ。Observation of a hand grasping objectsでrostral F5 and areas 45B, 45A, and 46でactivation。Observation of shapesでarea 45がactivate。というかF5のrostral側のarcuate sulcusの中をふつうに45野と称しているけれど、それだけfineな議論に耐えうる解像度を彼らのデータが持っているかどうかが問題となることでしょう。ようするに、Fig.1見てその結論を信じられますか、ということです。
  • "Failure to Detect Mismatches Between Intention and Outcome in a Simple Decision Task" これ、疾病否認とかと関係あるんだと思うんで読んでみたいんだけれど、まだ。著者はこの現象を"choice blindness"と呼んでる。そのうちTrends in Cognitive Sciencesあたりにレビューが出るだろうからそのときでよいか。
  • "Breakdown of Cortical Effective Connectivity During Sleep" もともとのEdelman and Toniniあたりからずっとフォローしてないんだけれど(なんか怪しげで……)、検証しておかないとなあ、と思いつつ放置中。
  • "Direct Evidence for a Parietal-Frontal Pathway Subserving Spatial Awareness in Humans" 脳腫瘍の切除手術でintraoperative electrical stimulationして、bisection testをすることによって、その患者さんの注意に関連する領野を切除しないようにしました、というわけです。その結果、IPLおよびcaudal STGへの刺激で影響あり。しかし、Karnathが主張するrostral STGへの刺激では影響なし。さらにparietal-frontal pathwayへの刺激がいちばん影響あり。というわけで、Corbettaが書いているように原因部位としてIFGまたはIFG-TPJのconnectivityを考えるというのは理にかなっているのかもしれません。
コメントする (1)
# Shige

こんにちは。予想、ありがとうございます(笑)。
sharp wave-ripple complex は海馬特有の脳波なので、いくぶんマニアックかもですね。ただ、ほんとに機能的な neural assembly の形成に関わっているとしたら面白いですが。
それでは。


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