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■ JNP 1月号

E. J. Tehovnik, W. M. Slocum, C. E. Carvey, and P. H. Schiller "Phosphene Induction and the Generation of Saccadic Eye Movements by Striate Cortex" J Neurophysiol 93: 1-19, 2005 [EndNote format]
ここ数年V1のMicrostimulationをやってきたE. J. Tehovnikによるレビュー。これが重要なのは、William Dobelleがやっているような人工視覚の応用と大いに関連があるからです。William Dobelleに関しては稿を改めていつか語りましょう。
んで、このレビューはここ最近Tehovnikがやりつづけている、V1へのmicrostimulationによって起きているであろうphospheneの生成に対してnonhuman primateがどのようにして応答するかを調べた一連の仕事についてまとめています。
はじめに彼がやったのは、二つの刺激刺激を出して刺激の出現時間を変えてやることでどちらの視覚刺激を選択するかを操作してやり、microstimulationによって選択がどうバイアスされるかを調べたもの。しかしこれはNewsomeとかがやっているperceptual decisionと似たようなもので、そんなに面白くはない。
重要なのはmicrostimulationによるphospheneを視覚刺激とどのくらい混同して、microstimulation単独の条件でphospheneへサッケードするかどうか、というあたりであって、そのへんに関するタスクのデザインが重要なのだと思うのだけれど、タスクとしてはしょぼい。あくまでこの人はmicrostimulation屋さんなのです。すくなくともいまのところ。
むしろこの人がいまのところいちばん得意としているのは、microstimulationのパラメータを調節していかにカラムレベル以下の小さな領域を刺激できるようにしているか、というあたりで、ここにかんして参考にすべきかと思われます。たとえばNewsomeの実験なんかでも1秒間とかmicrostimulationしっぱなしだったりして、いったいどこが刺激されているか(MTの方向カラムどころかMT外まで繋がるネットワークを刺激している可能性がある)さっぱりわかりません。同様なことはTirin MooreやGrazianoなんかあたりでも該当することでしょう。いっぽう、Tehovnikはfineですよ。刺激の効果を片目からの入力だけに限局するのに成功してたりする。つまり、ocular dominance columnの片方のほうだけを刺激しているといえるようなデータを持っているのです。
この仕事といまAOPになっている David C. Bradley, Philip R. Troyk, Joshua A. Berg, Martin Bak, Stuart Cogan, Robert Erickson, Conrad Kufta, Massimo Mascaro, Douglas McCreery, Edward M. Schmidt, Vernon Towle, and Hong Xu "VISUOTOPIC MAPPING THROUGH A MULTICHANNEL STIMULATING IMPLANT IN PRIMATE V1" J Neurophysiol (September 1, 2004) [EndNote format]、これらとhumanでのV1 microstimulationとをつなげる…ああもう誰かやってるんだろうなあ。
P. H. Schiller@MITと連名で論文を出す前からMITには所属しているみたい。私が知っているのは1996年のJ Neuroscience Methods("Electrical stimulation of neural tissue to evoke behavioral responses.")だけど。
レビューに関連するTehovnikの最近の仕事のリスト:


European Journal of Neuroscienceに出しつづけてレビューをJNPに出すというものすごく渋い仕事ぶり。見ている人はちゃんと見ている、ということでもあるのだけれど。


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