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■ Expected valueとexpected utility

> なんにしろ、expected valueとexpected utilityの違いについてもうちょっと整理してみる必要があります。パスカルからベルヌイ。[ミクロ経済学での限界効用]と[フォンノイマンとモルゲンシュテルンのutility theory]と[カーネマンのprospect理論]との関係。
んで、調べてみたら余計にこんがらがってきたりして。
そもそも[ミクロ経済学での限界効用]の話のような、あるミカン3個+リンゴ5個の効用はミカン10個+リンゴ1個とindifferentである、というような関係は不確定性のない状況でのdecisionです。なので、今回のWolpertの話にしてもミクロ経済学の教科書的な知識の範疇で済んでしまう話だったようです。
一方で、私の興味を引いていたのは不確定性のある状況でのdecisionの話でした。こちらを順を追って書いていきましょう。
不確定性がある、とはつまり確率の要素が入ってくるということです。以下のことは私なんかがまとめるよりはもっとましなものがあることでしょう。ツッコミ歓迎。
(1) まず、パスカルが最初にexpected valueという概念を使用しました。Valueという言葉が入ると「価値」という重みを持った言葉な感じがしますが、何のことはない、「期待値」ですよね。神様がいるかどうかの賭けに関してはググってもらうとして、つまり、


条件1: 確率1/2で100万円、確率1/2で200万円もらえる、
条件2:確率1/4で100万円、確率3/4で200万円もらえる、

で条件2を選ぶのは条件1の期待値150万円よりも条件2の期待値175万円のほうが大きいからです。でこういう計算

expected value = sum(value of outcome(i) * probability of outcome(i) )

を最初にしたのがパスカルだったと。
(2) しかし、ベルヌイがサンクトペテルブルグのパラドクス、というやつを提出します。これもググってもらうとして、要は、ある有限のお金を賭けると期待値としては無限大のお金が得られるような賭けの例を提出するのです。このような賭けにはたとえ出さなければならないお金が100万円だとしても得られる期待値は無限大のはずだからみんなやるはずなのに誰もやらない、なぜか。それはお金の価値(value!)が二倍になったら二倍得だったかというとそういうわけではなくて金額が大きくなるごとにお得度は目減りしてゆくから、という説明でこのパラドックスを解消します*1。つまり、このような計算をするときには得られるお金の値(value)ではなくて、効用(utility)を考えなければいけない、というわけです。このような効用uと金額xとの関係はu=log(x)のような単調増加でだんだんslopeがぬるくなってくるカーブでモデル化することができて、このことがわれわれが多くの場合にrisk averse(後述)であることの原因でもあります。しかし基本的な式は同じで、valueの代わりにutilityに置き換わっただけです。

expected utility = sum(utility of outcome(i) * probability of outcome(i) )

Risk aversionについて。もし1000円出したら1/2の確率で0円に、1/2の確率で2000円になるとしたら賭けてみます? このぐらいならやる人はいるかもしれない。でも、もし500万円出したら1/2の確率で0円に、1/2の確率で1000万円になるとしたら賭ける人は減りますよね。これがrisk aversionです。それは500万円損すること=500万円得すること*(-1)ではないからですよね。一方で1000円損すること=1000円得すること*(-1)に近かったりします。これはutility u=log(x)のような形をしていることによって説明できるわけですが、またプロスペクト理論のところで出てきます。
つづきます。
(3) フォンノイマンとモルゲンシュテルン
(4) Savage(1954)による"subjective expected utility"
(5) Allaisのパラドックス(1953)
(6) KahnemanとTverskyのプロスペクト理論


*1:しかしパスカルの神の賭けといい、サンクトペテルブルグのパラドクスといい、無限大の概念が入ってくるのが非常に気持ち悪いんだけれど。


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