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■ Current Biology

"Pigeon Homing along Highways and Exits."
ハトが遠距離飛行をするときに高速道路や鉄道の線路に沿って飛ぶ習性があることはこれまでに経験的にわかっていたけれどそれを系統的に調べた人はいません。そこで著者らはGPSを駆使してそれを検証した、というものです。
Fig.1を見るとたしかに、ハトの軌跡(赤)は高速道路(緑)に沿っています。そしてこれが偶然によるものでないことは、Fig.2のシミュレーションから明確です(道路を無視して飛んでいたら、もっと軌跡はバラける)。
しかもFig.8の通り、飛ぶ回数ごとに道路をランドマークにして飛ぶ比率が増えてゆくわけで、つまり経験と記憶によってこの習性が形成、強化されているわけです。
しかもこの行動は目的地に対して一番近道を行っているか、という意味において最適解ではないのですな。つまり、飛ぶ回数ごとに、道路に沿って飛ぶ比率が増えるので、実のところ回り道になってしまっているのです。とはいえ、そのような行動は他の側面から見て最適である可能性はあるはずですが(他のハトと軌跡を同じくすることによる安全性の面でのメリットとか。もしくはランドマークなしに飛ぶとうろうろと目的地を探して、けっきょく飛行距離が長くなってしまうとか)。
なんにしろこの話は"navigation"の話であり、spatial memoryの話なので、将来なんかそういうneurowthologicalな展開があると面白いと思います。


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