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■ Science Newsome論文つづき

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Newsome論文の売りとしてmatching lawをlocalな時間で満たすようにexponentialで積分したfractional incomeの概念がありますが、「メイザーの学習と行動」を見ていると、localなところで最大化する理論として"momentary maximization theory"というのを説明しています。これの最大化をmatchingに変えればまんま同じです。しかもexponentialと同じような図式が図14−7にでてきます。これは面白い。ちょっとmodifyして自作してみました。大学生が要るとして、横軸は時間、縦軸は価値。試験勉強する価値は学期の始まりはほとんどゼロで、そこからexponentialに上がっていって、試験日にMAXになる。試験勉強せずにさっさと寝る価値は毎週日曜日の夜からだんだん上がっていって月曜日の朝にMAXになる。んで、月曜日の朝にはさっさと寝る価値の方が高くなるのですね。こりゃ納得。 別件。"Brain Waves: Neuroeconomists Match Valuation and Behavior in the Brain"にNewsome論文への言及があります。これからは"neuroeconomics"(神経経済学とでも訳しましょう)が来る、みたいなことしか書いていないんでどうでもよいのだけれど、関連するエントリに があり、Glimcherがみずから"neuroeconomy"と題した本を出していることを知りました("Decisions, Uncertainty, and the Brain: The Science of Neuroeconomics." Decisions, Uncertainty, and the Brain: The Science of Neuroeconomics (Bradford Books (Hardcover))、ついでに"Glimcher Review")。まあ、この間のVernon SmithとDaniel Kahnemanのノーベル経済学賞で心理学と経済学の組み合わせが脚光を浴びたから次は神経科学と経済学というわけですな。しかしこりゃあもう陣地は取られているような感じですな。なんかもっと違うことを考えなくては。 追記:mmmmさん、ありがとうございます。コメントではリンクできないようです。こちらでリンクしておきます。 そういう意味ではラットでたくさんありそうですね。
コメントする (7)
# mmmm

このあたりの関連としては例えばCardinal et al. (2001): Impulsive choice induced in rats by lesions of the nucleus accumbens core (http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/292/5526/2499)でしょうかね。

# mmrl

彼らのlocal matchingは、過去の報酬履歴に対する効果が薄れて行くという話しであって、それに対して、上に書いてある図は未来の報酬に対する予測がdiscountされる方の話をしていてちょっと違うのではないでしょうか?さらに、「メイザーの」ではexponential discounting をしてましたか?わたしの理解だとhyperbolic discountingではないかと考えます。というのも、exponential curve を使うと睡眠が勉強を追い抜くことはないと思うのですがどうでしょう?上の図を作るとき実はhyperboric curveを使ったりしてませんか?(もしくは、discount rate を勉強と睡眠で違うものを用いていませんか?)

# pooneil

ありがとうございます。あんまりよくわかってないかもしれませんが、私の絵自身はexponentialで書いてます。勉強と睡眠とでdiscount rateは変えてありますが、それはその方がリアリスティックだと考えたからです。なんにしろ、今回の論文とはあんまり関係ないというのはその通りでして、なんか身につまされて面白かったので図にしてみた、というのが正直なところです。

# mmrl

なるほど、違う種類の報酬には違うdiscount rateを用いるほうがリアリティがあるかな。どうも強化学習理論にとりつかれていると、最大化する報酬は同じ基準で比較するのがよろしいと頭からおもってしまっていけませんね。人間でもいろんなdiscount rateで価値を計算、比較してるってのは本当なのかもしれません。

# mmmm

この陣地争いに対等に加わっているのは、日本では銅谷さんのところが挙げられるでしょうか。Nature NeuroscienceのAOPに出た論文が、マスメディアで盛んに取り上げられていますね。この分野のサル屋さんはちょっと不甲斐ないというか、時代から取り残されているかも(落胆)。その次の時代を牽引すべくお互い頑張りましょうねー。

# pooneil

”Prediction of immediate and future rewards differentially recruits cortico-basal ganglia loops”、これですね。玉川のCOEシンポジウムでもしゃべってましたね。プログラムに書いたメモに[GP SNr: stochastic action selection] -< [striatum: action value (expected reward / candidate action)] なんて書かれてます。なんにしろ、経済学でなくてもいいんだけれど、なんらかの形で役に立つような形を見出せるようにアンテナを張っておきたいと思います。これは基礎科学をする人間にとって忘れるべきでない点ですし。

# pooneil

追記:銅谷さんの論文の解説がhttp://www.jst.go.jp/pr/info/info87/index.htmlにあります。


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