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■ JNS 2/25

Episodic memoryのanimal model(Episodic-like memory)に関する重要論文を見逃していたのを5/7の友人が教えてくれた。
"Integrated Memory for Object, Place, and Context in Rats: A Possible Model of Episodic-Like Memory?" Madeline J. Eacott @ University of Durham Science Laboratories。
EacottはOxford UniversityのDavid Gaffanといっしょにlesion studyをやってきたが、現在はそこから離れてratでのlesion studyで海馬とその周辺の機能について研究している。Oxford時代の重要論文としては、Eur J Neurosci. '92 "Inferotemporal-frontal Disconnection: The Uncinate Fascicle and Visual Associative Learning in Monkeys."(これがfrontalとtemporal cortexとの結合が対連合記憶に重要であることを示した最初の論文であり、のちのScience '98とNature '99へとpreludeとなった)、Eur J Neurosci. '94 "Preserved recognition memory for small sets, and impaired stimulus identification for large sets, following rhinal cortex ablations in monkeys."などがある。
さて、以前(12/28)に吠えたことがあるけど、げっ歯類でepisodic memoryをやろうとする人はしばしば心理学のバックグラウンドが弱い。Tulvingが最初にepisodic memoryの概念を導入したときはrecognition testが評価法だったこともあって、その辺を引きずっているのではないかと私は疑っている。せっかくClaytonがepisodic-like memoryとしてはwhat-when-whereのすべての情報が必須であるような課題が解けることがcriteriaであることを確立したのだからそんなのではいけない、ratがepisodic-like memoryを持っていることをそもそも証明しなければならない、と私は言った。Ratにepisodic-like memoryがあるわけがない、と言っているわけではないことに注意。
でもって、今回の論文はwhat-where-context、という三条件を与えたtaskをratにさせて、それがfornix transectionによって阻害されることを示した。だから問題はこの"what-where-context"がじゅうぶんなcriteriaであるかどうかになる。もちろん、Claytonの論文が満たしたcriteriaだけが唯一の条件ではないし、概念はもっと拡張されて、より人の認知をうまく抽出したものへと進化するべきだ。Tulvingも、what-whre-whenだけではなく、そういう情報をflexibleに活用できることをも条件に挙げてよいというようなことを言っている。そういう拘束条件がより増えてゆくことは認知モデルとして望ましい。
つづく。

コメントする (2)
# uw

げっ歯類を使ったepisodic memoryの話、興味深く読ませてもらいました。続きを期待しています。

# pooneil

ありがとうございます。続きというか本題やります。ちょっとすぐには出来そうにないですが。


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