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■ 半側空間無視でのimplicit perception
Blindsight and insight in visuo-spatial neglect Nature 1988 タイトル見てギョッとして、なんか見逃していたかと思ったけど、ここでのblindsightはimplicit perceptionのこと。
つまり、hemineglectでawarenessがなくても視覚情報自体はちゃんと処理されているということを示した先駆けの論文で、二つの家の絵を上下に出して同じかどうか聞くと同じと答える。でもじつは上の絵の家の左の部分は火事になっている。そこでどっちに住みたいか聴くと下を選ぶ、というもの。
盲視と半側空間無視を比較するということを考えているわけだけど、もしかしたら、同名半盲による盲視と半側空間無視による盲視を比較する、ってのがいちばん形式的に揃っていて有意義かもしんない。金井さんの論文 (Consciousness and Cognition 2010)みたいにawarenessが無いときの二分類にうまく分かれるたりとかしないだろうか。
半側空間無視でのimplicit perceptionについては、Driver and MattingleyのNature Neuroscience 1998 に詳しく書かれている。盲視との違いで目を引くのはこの残存視覚がobject identification (腹側系)である点だ。
ちなみに前述のMarshall and Halligan 1988はこのレビューでは言及されていない。あと、Driverはこのレビューや後のcognition 2001などでも盲視との対比を議論している。(盲視は腹側系の情報を失い、半側空間無視は背側系の情報を失うという図式)
まあ、とにかくネタ帳に入れておく。要は、どのような対比にすればdouble dissociationが作れるかってこと。perceptionとattentionとをシリアルに置くような議論だと二重乖離にならないので、なんかパラレルになるところを見つけるのが肝要。
落ち穂拾い:Blindsightとimplicit perceptionとはべつものなので、implicit perceptionのことを示すのにblindsightって言葉を使うのはabuseだと思う。
Implicit perceptionでは間接法(刺激そのものに対する応答を使わない)で見えない刺激の情報による影響を調べる。たとえば見えない刺激を出したら、それによって同時に提示した見える刺激への応答潜時が変わったとかそういうやつ。
Blindsightでは、見えない刺激に対する影響を直接法 (刺激そのものに対する応答を使う)で調べる。たとえば2afcによる刺激の弁別とか。
Blindsightの能力自体は間接法でも見つけることが出来る。とくに、hemidecorticated subjectでのblindsightの場合では、間接法でしか出てこない。(affected fieldに刺激を出すと、同時に出したintact fieldへの刺激への応答潜時が短くなる。)
ちゃんと整理している人を見たことはないのだけれども、概念をはっきりさせるとこんな感じだろうか:
- 一般に、間接法で見つかるものはimplicit perceptionと呼ぶべきで、盲視と呼ぶべきではない。
- 盲視の能力のうちで、直接法で出てくるものをimplicit perceptionとは呼ばない。
- 盲視の能力のうちで、間接法で出てくるものはimplicit perceptionと呼べる。
- 直接法でその効果が見えるのが盲視の特長であり、implicit perception一般とは異なる部分。
- ただし、hemidecorticated subjectでのblindsightの場合では、implicit perception一般と区別できるところはない。
このへんは将来的にレビューを書いたりする際には入れておくとよさそうだ。
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- / 投稿日: 2012年06月15日
- / カテゴリー: [半側空間無視(Spatial hemineglect)] [視覚的意識 (visual awareness)]
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