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■ 次回の研究会の形式について考えてみる。
研究会に参加されたみなさまにはさきほど研究会へのご意見、ご要望のアンケートをお願いしました。ぜひご協力をお願いします。研究会のサイトはこちら。今年の研究会の反省などを踏まえて、次回どういう形式にしていったらいいか、どういう運営法にしていったらいいかを考えております。直メールでもけっこう、こちらのブログに書き込みでもけっこうです。ご意見おまちしております。
さて、次回の研究会の形式について考えてみます。今年の研究会、いろんなひとから多くの質問が出て、なかなか良かったと思うんですけど、まだ食い足りなかったと思うんです。今回の研究会を学会とラボセミナーとのあいだに位置づけるなら、かなりラボセミナーに近いような位置にあったんではないかと思います。それゆえに肩肘の張らないかんじで質問できたと思うんですけど、トークの内容そのものをclarifyするだけでなく、もうすこし話を展開するような方向へ議論を持って行けたらいいんではないか、なんてことを考えているのです。
私個人の印象だけで言っても、発表内容からちょっと離れてでももっと話を展開したかったんです。このへんは意見分かれるでしょうけど、個人的には、ということで具体的に二日目のセッションについて書いてみますね。
中原さんの話でしたら、basal gangliaはMarrの計算論のレベルではなにをやってるんだろうか、みたいなことを議論してみたかったと思います。(「basal gangliaでやってることはほんとうに強化学習だろうか」みたいな質問がありましたが、 あそこがもっとexpandできたらよかったと思います。 Vision以外の事象を扱うときに計算論の人がMarr的な考えについてどう考えてるか興味があるのです。イントロで多少話がありましたけど、計算論の人がどういうこと考えているかということに興味があります。
春野さんの話でしたら、fMRIでの仕事がどう理論的モデルと関わってくるのか、実験事実の背景にどういうものをイメージしているのか、みたいな話を聞きたかったと思います。
筒井さんの話でしたら、筒井さんのストーリーがいわゆる神経経済学的な強化学習をベースにした話よりは「ドーパミンは気持ちいいのか」という問題設定が出てきたところからしても、「emotionとrewardとmotivationと快感」のほうを志向しているんではないか、ということについてもっと詳しく知りたかったです。
渡邊さんの話でしたら、postdictionというのが意志決定だけにかぎらず知覚、運動まで含んだ人間のmental lifeすべてにあてはまるようなものかもしれない、というポイントについて知りたかったし、神経経済学的ないわゆる意志決定とあの話がどういう関係にあるかとかをもっと詰めて聞いてみたかったと思うんです。
このへんのことが充分聞けなかったのは私が二日酔いだったから、というのが最大の理由orzなんですが、要は、もっと発表された仕事の先(future direction)とか手前(working hypothesisとかbasic assumption)とかの話ができたらいいのに、と考えているんです。もちろん、宴会でそういう話ができたら最高なんですけどね。研究会自体がもっとフリートークっぽくなってもいいんじゃないかと思うんです。
ではどうやったらそういう話にまで展開できるんだろう。ひとつのアイデアは、もっと一人一人の話をexpandする、というものです。
今回みたいなかんじで口演をしてもらって、座長に二人ついてもらって、途中質問有りにするんですが、講演の最後に「まだ解けてない問題」として論点を提示してもらうのです。Trends in cognitive sciencesとかTrends in Neuroscienceとかで"outstanding questions"というBOXがありますが、あれと同じようなものを各演者に作ってもらって、問題提起をしてもらう。あるていど答えのない問題を作ってもらったほうが盛り上がると思うのですが、それについて座長と一緒になって議論したらいいんじゃないかと思っているのです。そうなるとたぶん1人90分くらいは必要かなと思うのですが、一日目の演者を3人、二日目の演者を2人くらいにすれば可能なんではないかと思っています。時間に関してはオーディエンスがだれずに済むかどうかによるバランスであると思いますが。
この考えだと一人当たりの話がとても長くなって演者の負担が大きくて大変そうですし、聞いている側も疲れてしまうかなとも思うので、正直改良の余地があるかな、と思います。
もうひとつのアイデアとしては演者間のinteractionを作るようにする、というものです。これまでに以下のような意見を寄せていただいております。(許可を得て転載)
僕が「パネルディスカッション」と言ったのは、次のようなことをイメージしていました。
もうかれこれ2、3年前だったと思うんですが、沖縄でやった研究会で、…(中略)… そういう研究会のなかで、時間が余ったから、いろんな企画を即席でやってました。そのうちのひとつが、若手放談会みたいな感じで、発表も何もなしに、3人の若手、John O'Doherty と、Sugrue と、それから、誰だったか忘れましたが、が壇上に上がって、John が主導だったと思うんですが、最近のトピックスについていろいろ話し初めて、会場からも、いろいろ質問がとんで、これが非常に面白かったです。もう一つは、強化理論について、Barto について何でも突っ込もう会、みたいなやつで、彼が延々と1時間くらいいろんな人の質問にいろいろ答えていきました。これもたいへん面白かった。
日本人には、これほど即席の企画力がないと思うので、(これって、本当にふだんから毎日セミナー室でお茶を飲みながらどれだけ議論をしているかということを反映していると思います)、そんな感じでやるとおそらく失敗すると思うのですが、次のようなものはどうでしょう。
たとえば、3時間くらいの枠で、3人のスピーカーを選びます。まずは30分ずつ話をさせて、そのあと、スピーカー同士で壇上でいろいろ議論してもらう。そこで30分くらいやったあと、今度は会場からの質問を受け付けながら、話題を展開していくというものです。一応、議論の方向性をある程度ガイドする人が必要でしょうから、3人のスピーカーのだれかがその役をやるか、あるいは、最初から座長を設けておいてもいいかもしれません。流れによって、ある話題を深く追求したり、また、それだけでは疲れるから、こんどは会場から素朴な疑問を出してもらって、それが鋭いところをついているようだったら、またその方向で掘り下げていく、という感じで。
この「若手放談会」、はげしくいいなあ、と思うんです。かなりあこがれます。たしかに蓄積がないとすぐにできるってもんでもなさそうですが、このくらいフリーなかんじでもぜんぜんいける、研究会として成立するって思うんですよ。
後半で提出していただいたアイデアについて具体的に今年の講演でイメージしてみましょう。たとえば、鈴木さん、熊田さん、小川さんの三人で話をしてもらって、「トップダウン性、ボトムアップ性の注意が どういう回路をつかっているのか」みたいなことをテーマにして議論していただくのは可能だと思うんです。熊田さんと鈴木さんのあいだでは、fronto-paeiralの二つのpathway について話が共有できそうですし、小川さんと熊田さんのあいだでは、top-downとbottom-upの統合 について話が共有できそうです。このような形式でいけるんではないかと思います。
それなりに複数の人に連携を取って話をしてもらうことになるので、前準備をして、ある程度目的意識を共有してもらってから本番に臨む、という形になるようです。あるていど気心知れた人と組むのがうまくいく秘訣でしょうか。私が上で書いていたものはかなり研究会寄りのスタイルですが、このアイデアは学会のシンポジウムをよりフリーなスタイルにしたかんじで展開できるかもしれません。
今年のやり方と形式を近づけるならば、それぞれの30分の講演と30分の質問をおこなって、3人終了したところで共通する論点を出して総合討議(60分)、みたいなふうにするとやりやすいかもしれません。ひとつのテーマで4時間、二日で2テーマ、合計6人と指定討論者12人、このくらいがいい案配なかんじがします。(一日目は3人でひとテーマ、二日目は2人でひとテーマくらいにするとさらによさげ。) 学会のシンポジウムでこれをやると総合討議の時間がたんに個々の発表への補足質問に終始したりしがちですので、それなりに座長の方の誘導なども必要になりますが、形式的には比較的みんな理解しやすいのではないかと思います。演者の方の選択はなかなか難しそうですし、話していただくことにいろいろ縛りを付けることになるので演者の方に協力していただかないとなかなか大変そうですが。
なんてことを今は考えています。ここで書いたような考え方が良い方向かどうかはまだよくわかりません。せっかく第一回目で形式を整えたのだから、次も同じやり方で、運営のやり方だけもっとよくして、継続する方向の方がいいのでは、という気持ちもあります。ぜひ、みなさまのアイデアもお寄せいただけたらと思います。このブログへでもけっこう、アンケートの方に記入してくださってもけっこうですし、私への直メールも歓迎します。ご意見お待ちしております。
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- / 投稿日: 2007年10月19日
- / カテゴリー: [生理研研究会2007「注意と意志決定の脳内メカニズム」]
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