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■ 実りある議論のためのリソース1

研究会予習シリーズですが、このペースでは全員回ることは不可能になってきました。残された時間で、私が座長をする予定の東大先端研の渡邊克巳さんの講演について予習を行うことにします。これはのちほど。

「実りある議論のためのリソース」と題して講演者のみなさまに関する参考文献などを挙げるコーナーを作成しました。まったくもってわたしの独断ですので、これで当たっているかどうかは保証の限りではありませんのであしからず。

まずは第1日目の講演者の方に関して。第1日目は全体として「注意」のパートとなっております。

1. 「脳損傷患者における注意と意思決定」 鈴木 匡子 (山形大学大学院医学系研究科 高次脳機能障害学)

鈴木匡子さんは今年から山形大の教授となられました。神経心理を専門とされていて、高次脳機能障害の患者さんの症例のレポートを多く発表されています。鈴木匡子さんは日本で数少ない、blindsightの患者さんのレポートをされた方でして(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2000 Jun;68(6):782-6. "Intact verbal description of letters with diminished awareness of their forms." Suzuki K, Yamadori A.)、わたしはその縁でお知り合いとならせていただきました。

2. 「注意のトップダウン制御原理 - 次元加重、課題構え、探索モード」 熊田 孝恒 (産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 認知行動システム研究グループ)

熊田孝恒さんは産総研で注意の心理物理をされている方です。サーチタスクのパラダイムを用いて、top-down attentionについて研究されていますが、脳損傷の患者さんを被験者とした研究も行っておられます。

3. 「行動価値予測の誤差とリスク - 行動適応における前頭前野内側部の役割」 松元 まどか (理化学研究所 脳科学総合研究センター)

松元まどかさんのNature neuroscienceについては予習シリーズでとりあげました。今回の講演では、松元健二さんが神経科学大会のシンポジウムで話されたtop-down attentionの話が加わったものとしてお話しいただけるのではないかと思います。

4. 「注意が意思決定に変わるとき - 変換場としての頭頂連合野機能」 小川 正 (京都大学大学院医学研究科 認知行動脳科学)

小川正さんのお仕事についても予習シリーズでとりあげました。ちょっと尻切れトンボ気味でしたが。Visual searchのパラダイムを用いて、top-down attentionとbottom-up attentionがどのようなinteractしているのかということをニューロンの活動で示しています。V4, FEFのデータに関してはこれまでに発表されていますが、今回の講演ではLIPのお話も伺えるのではないかと思います。

次回は二日目、意志決定パートの方について書きます。


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