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■ Unconscious cognitionの三つのcriteria

今日も今日とてレコーディングしてから統合脳班会議のポスター作り。ギリギリまでポスターに入れられるspecimenのデータを狙っていたのだけれども、思うようにはいかず。ま、こうやって集めたデータがあとで役に立つはず。

vikingさんのエントリでPerception & Psychophysicsに出た"Criteria for unconscious cognition: three types of dissociation" Schmidt and Vorbergというのを知りました。

これは以前わたしのところで取り上げた"Implicit perception and signal detection theory"に関連する話題ですな。

そのときのエントリの話をすると、awarenessの報告を元にしたdirect measureと、awarenessに依らない行動としての報告indrect measureとのdissociationとしてimplicit percetionを捉える、という話でした。Awarenessというのはおそらく、all-or-noneな現象ではなくて、もっとgradedなものである、というかall-or-noneであるというのはあくまでassumptionでしかありません。だから、direct measureにはsignal detection theoryによるsensitivityを使うべきであり、awarenessのあるなしの報告のような二分法(DehanneのprimingのfMRIで使われているような)では不充分、というのがNature Reviews Neuroscienceのメインのメッセージのひとつでした。

Awarenessがgradedな現象であるかということに関していえば、たとえば、BlindsightのG.Y.さんのawarenessの報告では、awarenessの強さは4段階のスコアに分けて解析されていました:

  • score 1: Unaware - There was no feeling of something being there. A total guess.
  • score 2: Aware - There was a feeling that something was there and guessed the direction.
  • score 3: Aware - Fairly confident of the direction.
  • score 4: Aware - Certain of the direction.

(Zeki S, Ffytche DH. "The Riddoch syndrome: insights into the neurobiology of conscious vision." Brain. 1998 121:25-45より。)

こういうことを踏まえて、awarenessをgradedなものとして分けて扱おうとするhuman imaging studyもあります。NeuroImage 2006 "An fMRI study of the neural correlates of graded visual perception."

んでもって、Nature Reviews Neuroscience 2005 "IMAGING IMPLICIT PERCEPTION: PROMISE AND PITFALLS"では、direct measure (D)とindirect measure (I)との関係をプロットしてやって、D=0のときにI>0であることを示すことによって、implicit perceptionのobjectiveなcriteriaとすることを提唱していました。

んでやっと今回の論文ですが、Nature Reviews Neuroscience 2005で言っているような方法(この論文では"simple dissociation"と呼んでいる)以外にもう二つの方法があることを示しています。2番目が"sensitivity dissociation"で、単に、D<Iであることを示すというもの、つまり、D=0でIの値を直接測定したり、外挿したりしない方法ですな。これでオッケーなら話は楽だが、なかなかそうはいかない。3番目が"double dissociation"で、ある操作(lesionをつくるとか、maskingをかけるとか)がDを大きくするのにIを小さくするとか、その逆とか、とにかく効果の向きが違う。この3番目がいちばんassumptionが少ない、というのが著者の意見だというのがabstを読んでわかったことです。

重要なので、読んでみます。

このへんの話題はラボセミナーでとりあげるネタとしてキープしておいたのだけれど、次回はもう少し初歩的なところでアプローチする予定(hit/miss/false alarm/correct rejectionの分類を使ったsingle-unitやBOLDの解析)。前提を共有することがとにかく重要なのです。


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