« FolderShare | 最新のページに戻る | David J. Heegerのトーク聞いてきました(最終回) »

■ David J. Heegerのトーク聞いてきました(つづき)

前回の続き。

話の内容はNature Neuroscience '05 "Traveling waves of activity in primary visual cortex during binocular rivalry"でした。これはどういう話かというと、binocular rivalry(=両眼視野闘争がなにかは省略。とりあえず見つけたリンクとしてはこのpdfの8ページを参考にしてください)では、右目と左目に別々に入った視覚刺激が一定の時間を持って入れ替わるのだけれど、その切り替わりの時間帯では片方の視覚刺激からもう片方へ一挙に切り替わるのではなくて、数秒かかってある視野の位置からだんだん広がるように切り替わってゆく、ということが知られています。んでもって、この切り替わりの過程をfMRIで見てやることで、視覚入力が同一な状態で、「見え」の切り替わりが起こるのを、V1のretinotopicalなmap内での活動の伝播として捉えてやろうとした、というのが今回の話です。

この切り替わりのタイミングを再現よく起こすために、視覚刺激にはリング状のgrating(縞模様)を使い、低コントラストのgratingを片目に提示してから、高コントラストのgratingを反対の目に提示します。んでもって、リング状の刺激の切り替わりが伝播したタイミングを被験者に報告させます。このタイミングとV1のactivationとを対応づけてやる、というわけです。たとえば、右上から右下に向かって低コントラストのgratingから高コントラストのgratingに切り替わってゆくのを見たときには、V1の右上視野に対応した部分から右下視野に対応した部分に向かってactivationの高いところが動いてゆく、というのを見ることが出来ます。

んでもって、被験者が伝播の速度が遅いと報告したときにはV1内でのactivationの伝播の速度も遅いし、被験者が伝播の速度が速いと報告したときにはV1内でのactivationの伝播の速度も速かった、というのがmain findingです。細かいことは省略。次回でこの話締めます。


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