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■ Journal of Cognitive Neuroscience 11月号

"The Functional Neuroanatomy of Episodic and Semantic Autobiographical Remembering: A Prospective Functional MRI Study." Brian Levine, Gary R. Turner, Danielle Tisserand, Stephanie J. Hevenor, Simon J. Graham, Anthony R. McIntosh
講義を終えてみると絶妙に関係ある論文が。
via http://am.tea-nifty.com/
via http://www.eurekalert.org/pub_releases/2004-11/bcfg-whi111604.php
この論文はどういうものかというと、fMRIなんですが、autobiographical episodic memoryとautobiographical semantic memoryとを分けて想起時のactivationを見た、というものです。autobiographical episodic memory(過去の一回きりのエピソードをそのときの気持ちまで思い出してmental time travelしてもらう)を思い出しているときとautobiographical semantic memory(過去なんども繰り返した習慣や行動を事実として思い出してもらう)を思い出しているときとのあいだで差分を見てやろう、というわけです。autobiographical episodicとautobiographical semanticとを別々に評価するためにautobiographical memory interview(AMI)を使う、という話を以前書きましたが、AMIにしろなんにしろ、retrograde amnesiaを見るときに使うテストでは昔の記憶を思い出してもらうということが必要なため、AMIを繰り返しやってたりするとその想起をなんども繰り返すことになってリハーサルによる効果や記憶の再活性化による効果などが出てしまうのが難点です。今回の論文は健常者でのfMRIですが、構造的な問題としては同じです。
そこでどうしたかというと、被験者にあらかじめ日記をつけておいてもらう(じっさいにはカセットレコーダーで吹き込んでおく)ことにしたのです。半年分くらいの日記をカセットレコーダーで吹き込んでおいてもらって、それを聞き返さないでおいてもらいます(リハーサル効果の除去)。日記の記述のうちでautobiographical episodicと言えるような描写とautobiographical semanticと言えるような描写とをMR撮影中に聞いてもらってそのときのことを思い出してもらって、二つの条件の差分を取る、というわけです。
その結果、autobiographical episodicのほうがautobiographical semanticよりもmedial temporal, posterior cingulateが強く出たこと、それからautobiographical episodicとautobiographical semanticとで共通に出た部分(general semanticや他者のautobiographical episodicを聞いているときとの差分をとっているのでこれは自己に言及している成分と言える)として、left anteromedial prefrontal cortexが活性化した、ということだそうな。
著者らはTulving門下の人たちですな。B LevineとAR Mcintoshは今回言及はしなかったけれど
Brain '98 "Episodic memory and the self in a case of isolated retrograde amnesia."
の著者だし、AR Mcintoshは
Nature. 1996 Apr 25;380(6576):715-7. "Activation of medial temporal structures during episodic memory retrieval." Nyberg L, McIntosh AR, Houle S, Nilsson LG, Tulving E
にも名前を連ねています。それ以外にも

といった興味深い論文の著者でもあります。


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