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■ episodic memory and semantic memory

んで、さんざんやってきましたが、記憶の分類に関する難点について:そもそも分類というのは「ある条件とそれ以外」という形でしかmutually exclusiveかつ洩れのない分類になりえないわけですが、いったん分類をしてしまうとそれぞれの概念が自立性を持ってきて、「それ以外」という立場に甘んずることは決してないがゆえに分類の整然さ(mutually exclusiveかつ洩れのない)が失われてややこしくなる、ということが起こるというわけです。
具体的に言えば、Squireがやるようにdeclarative memoryのsugdivisionとしてepisodic memoryとsemantic memoryを置くときにはそれぞれをeventのmemoryとfactのmemoryというふうに分けるしかありません。これではpublic eventがepisodic memoryに入ることになってしまいます(実際にはJNS '98 "Retrograde Amnesia for Facts and Events: Findings from Four New Cases."ではAMIでpersonal semantic memoryを定量化しているわけですが)。
一方でTulvingのオリジナルのepisodic memoryの定義('72)に戻ってみて、episodic memoryがpersonally experienced eventであるとするならば、semantic memoryはそれ以外、ということになるわけです。Tulvingの分類はepisodic memoryの方が主役で、personalか否かとeventか否(fact)かという二つの次元を持ってしまっていることになります。よって、semantic memoryの中はpersonal semantic knowledgeやpublic event knowledgeやgeneral semantic factのようにヘテロ名集団とするしかありません(このへんを整理しているのがKapur '99のfig.2なわけです)。
そうこうしているうちにsemantic dementiaのような症例について明らかになってくると、episodic memoryとpersonal semantic knowledgeとをまとめたほうがかえってわかりやすいようにも見えてしまう、という現象が起こるわけです。
とだいたいこんな感じに見通せるのではないかと。
しかしこのような問題は記憶の分類以外の認知心理学のいろんなドメインで起こっていることなのでしょうけど。


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