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■ Nature Neuroscience 7月号
"Automatic avoidance of obstacles is a dorsal stream function: evidence from optic ataxia."
つづき。
Optic ataxiaに関する重要な論文にGoodale and Milnerの
Nature '91 "A neurological dissociation between perceiving objects and grasping them."
があります。以前にも言及しましたが、visual agnosia (視覚認知ができない)の患者さんであるDFさんは目の前のスリットの角度がわからないにもかかわらず、このスリットにカードを差し込むことはできます。一方、optic ataxiaの患者さんでは話は逆で、スリットの角度はわかるのに、そのスリットにカードを差し込むことができない、というわけです。
つまり、視覚意識がないのに視覚運動変換ができる場合と視覚意識があるのに視覚運動変換ができない場合というdouble dissociationを示したわけです。さらに彼らは"Visual brain in action"(MIT press)においてその二つがdorsal pathwayとventral pathwayとに分かれている、といった説を展開することになります。
今回の論文の著者であるRossetti and Vighettoは最近EBRにoptic ataxiaに関するreviewを書いていて、上記のGoodale and Milnerの説を批判しています。
"Optic ataxia revisited: Visually guided action versus immediate visuomotor control." Yves Rossetti, Laure Pisella and Alain Vighetto
つまり、前述のとおり、optic ataxiaでは注視点へ手を伸ばすのには問題がないわけで、optic ataxiaの場合のテストは周辺視野で行っており、中心視野で行っていない。一方でvisual agnosiaの場合のテストは中心視野で行っており、周辺視野で行っていない。よって、二つの症状を比較するためにはどの視野でのことなのかをそろえて検証すべきだ、というわけです。んで、このレビューが出た後の今回のNature NeuroscienceにはMilnerが入っている、というわけなんですな。
なお、Rossetti and Vighettoの代表作は
"Optic ataxia: a specific disruption in visuomotor mechanisms. I. Different aspects of the deficit in reaching for objects." Perenin MT, Vighetto A
こいつです。Brainなんですが、Iとか書いてあって連報のように見えて、続報が出てないのです。かっこ悪い。内容は別として。
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- / 投稿日: 2004年07月16日
- / カテゴリー: [腹側視覚路と背側視覚路]
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