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■ Goodale and Milner

去年の12/29に書いたGoodaleの論文への記載についてmdsさんより書き込みがあったのでここで返答します。


mdsさん>>上記の意識に上る上らないに該当する経路は、膝状体視覚経路と膝状体外視覚経路のことではないのですか? 膝状体視覚経路が損傷した患者は、運動刺激が見えていないと主観的には報告するんだけれども、あたかも見えているかのような行動反応を示す、というものです。確かに背側経路には膝状体外視覚経路からの投射が入ってきますが、背側経路・腹側経路自体は、意識に上る・上らないという二項に単純に対応するものではないと記憶しております。

mdsさん、書き込みありがとうございます。膝状体視覚経路と膝状体外視覚経路についてのもちろんそのようなことが考えられていますが、Goodaleが書いているのは背側経路と腹側経路についてです。Goodaleが言っているのは正確には、背側経路がvisual control of actionであり、腹側経路がvisual recognition/perception、というものです。
"The visual brain in action" のprecisがPSYCHEのweb siteにありますのでそれを参照してみますが、fig.2にあるように、腹側経路の損傷を持つ患者DFさんはスロットの向きはわからない(perception能力の低下)けれどもスロットにカードを差し込むことは出来る(sensorimotor controlは保持)、という例をGoodaleは示しています。また、fig.3にあるように、DFさんは石ころのようないびつな物体の形を見分けることは出来ませんが(perception能力の低下)、掴むときにはうまく重心を外さないように掴みます(sensorimotor controlは保持)。一方、背側経路の損傷を持つ患者RVさんはまったく逆で、その物体の形を認識することは出来ますが、それをバランスよく掴むことは出来ません。このことからGoodaleは背側経路と腹側経路とでvisual control of actionとvisual perceptionとに機能が分かれていることを示しています。
もちろん、この二つの経路が全く独立であるなどとはGoodaleは言ってませんし、両者がどのように交互作用しているかがこれからの課題であるとしています。
長いので次の日に続きます。


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