« 静止膜電位はどうやってできるの? | 最新のページに戻る | 駒場学部講義2016 「意識の神経科学:「盲視」と「統合失調症」を手がかりに」レジメアップしました »

■ 駒場講義2016/6/15の準備メモ

毎年恒例のオムニバス講義が近づいてきたのでそろそろ準備を始めてる。今年は6月15日(水)で、タイトルは「意識の神経科学:「盲視」と「統合失調症」を手がかりに」。2012年から毎年、5年目となった池上高志さん @alltbl の人間情報学VIでの学部講義 105min * 2。

昨年の講義の準備の様子やレジメなどはこちら:[カテゴリー別保管庫] 駒場学部講義2015

今年も例年通り、前日くらいにレジメをブログおよび生理研のサイトにアップロードする予定。

さてそれで内容をどうするかなのだけれども、昨年導入した統合失調症と異常サリエンス仮説の話を今回はさらに広げてゆくつもりで考えてた。神経現象学に関する話題(ブログ記事参照)は前回は見送ったのだけど、金井さん(Araya/東工大) @kanair_jp のConsciousness Clubで先月喋ってみたら、ひととおり話せることが分かったので、そちらを膨らませるという方向もある。

Consciousness Clubのときには、早々にヴァレラの「神経現象学」に飛んでしまったけど、順序立てて説明するためにはデネットの「ヘテロ現象学」を説明して、いま我々が認知神経科学者として行っていることはまさに「ヘテロ現象学」であるということからスタートする必要がある。

このあたりについては、ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会のときに作った話があるので、そこで端折った部分を入れて丁寧に話をすることができる。

でもって、NCCから力学系へみたいな話をするときには、そもそもDavid MarrのVisionにおいても表象(representation)と過程(process, computation)とが並べて議論されていたことに言及すると良いのではないかと考えて、原本にあたってた。

つか以前このあたりについてはブログに書いたことがある。「MarrのVisionの最初と最後だけを読む」とか「Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する(2)」とかを自分で読み返す。

そうやって調べものしていたら、"David Marr vs. James Gibson"という記事を見つけた。マーの議論はhomunculus fallacyだって言ってる。

よくよく見たら、PythonでのスパイキングニューロンのシミュレーターBrianの作者ではないの。上丘のスパイキング・ニューロン・ネットワークの仕事をここ数年進めているので(たとえばBMC Neuroscience)、ちょくちょくいじってた。

こういうもの作っている人がKevin O’ReganとかAlva NoëとかMerleau-Pontyに言及しているというのはすごく興味が惹かれる。必然のような、逆説的のような。


お勧めエントリ


月別過去ログ