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■ MacBook Pro 2011で120Hzできた
神経心理の実験の準備のために、刺激提示について検討してた。いろいろ道具を持って出張するということになるので、CRTではなくてLCDで刺激提示をすることにする。
刺激提示装置の選択は視覚科学の分野ではいつでも問題で、CRTモニタが年々入手が難しくなってゆくところでどうやって心理物理的実験を行うかというのはしばしばMLにもポストされる。
つまり、CRTでの時間応答と比べて、LCDでの時間応答は遅い。年々スペック表に出ている「応答速度」は速くなってゆくが、これは白->黒での値だったりして、中間色のあいだでの時間はもっとかかる。
そういうわけで、motion刺激を出すような場合にヘンに残像とか出たりすると困ったことになる。(静的な刺激に関しては事情は違っていて、液晶のIPS方式だと色再現や視角がよかったりして、医療での画像診断用のモニタは液晶だったりする。)
とはいえ、LCDでランダムドット刺激使って心理物理やった論文とかも出てはいる。"Speed and Eccentricity Tuning Reveal a Central Role for the Velocity-Based Cue to 3D Visual Motion" (JNP 2010) LCDを使うに当たってはMethodsのなかでそれなりに確認したことが書かれている。あと、続編では120HzのDLP projectorも使っている。"Motion processing with two eyes in three dimensions" JoV
そんなこんなで気にはなっていたのだけれど、今年のvisionlistのポストでLCDでもけっこう大丈夫ですよ、という論文の原稿が公開されてた("An LCD monitor with sufficiently precise timing for research in vision" (pdf))。この論文ではネイティブ120HzのSAMSUNG 2233RZとNVIDIA Quadro FX580の組み合わせを使っていた。
なるほど、たしかにだんだん120Hzのものが増えてきているようだし、これを使うことを検討してみた。
グラフィックボードに関してはNVIDIAはGeForceがDirectX特化(ゲーム用)で、QuadroがOpenGL特化(科学計算用)ということらしい。私が使うとしたらPsychPyにしろPTB3にしろOpenGLベースとなるのでやはりQuadroか。
液晶ディスプレーの方はネイティブで120Hz出るもので今いちばんよいのはBenQ XL2410Tか。これはTN方式なので欠点はあるが、応答速度も速い。(比較記事) 三菱とかはIPS方式で色再現や視野角はよいけど、これはネイティブ120Hzではないので私の用途には向かない。
ほかにもいろいろと調べていたのだが、この世界はFPSゲーマー向けがいちばん進んでいることがよくわかった。LCDはだめでCRTがいちばん、とか視覚科学者と同じこと言ってて親近感がわく。
たとえば、120Hzにしても人間の目が追いつくのか?なんて議論をしていて、ソニーの人の論文 とかに言及していて、240fpsあたりが限界だって話をしている。ちなみにこちらはpdfが取れる: Development of the High Frame Rate 3D System
平行して、macのラップトップでも刺激出せないかどうか検討した。MacBook Pro 2011にはMini DisplayPortからDual-Link DVIに信号を送ることができるようになっているのだけれど、外付けモニタで120Hzは出せないのだろうか? webのサポートページとかではシネマディスプレーとか大画面用には出せるようだが、リフレッシュレートについては記載がなかった。
もうちょっと古い型ではうまくいかなかったと書いてあった:120Hz monitor usage ただし、グラボの性能としては120Hz出るようだし、switchresxを使って120Hzが出せるという情報もあった。
以前書いた120Hzモニタの件。BenQ XL2401TをMacbook Pro (2011 Spring)とDual-Link DVIで繋いでみたら、ちゃんと120Hz出せることが確認できた。PsychoPyでtime by frameを計算すると、平均8.3ms (= 1000ms/120frames)。
ただし、スクリプトの立ち上がり(<100ms)のところで盛大にフレーム落ちすることがある。
Macbook ProはふたつのGPUを切り替えているので、それのせいかなと踏んで、「省エネルギー」のところで 「グラフィックの自動切り替え」をオフにする。これで常に高性能グラフィックの方が使われるようになる。これでうまくいったかなと思ったらまだframe落ちすることがある。
よくわからん。ただし、frame落ちするのは初めの方だけなので、どっちにしろ刺激を出す前に待ち時間をおくことになるし、私の用途ではとりあえずはよしとする。
参考までにLCDの応答特性とかを評価した論文いくつか:
- Keeping it short: a comparison of methods for brief picture presentation. (pdf)
- Image and video quality assessment using LCD: comparisons with CRT conditions (pdf)