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■ 「身体性」ってなんすか?

今度の生理研研究会は「身体性」がテーマなんだけど、ところで「身体性」っていったいなによ?って話になった。たしかに「社会性」とか「動機付け」とかよりもわかりにくいかも。もっと広くアピールして、ポスター応募増やすためにどうすればいいか考えてみる。
なんか説明を書いてみればいいのだろうか。「定義」とか言い出すとややこしくなるので、例示的に書いてみる。
"Embodied cognition"(wikipediaそれからInternet Encyclopedia of Philosophyに説明あり)の訳として言えば、「物理的制約の下でどのように認知が可能になるのかを考える立場」とかそんな言い方になるだろう。かっこつけて「ぼくら人間が空を飛べないので鳥とは違ったように世界が切り取られる」とか言ってみたりする。これは認知側からの言い方で。
行動側から言うならば、運動制御の人が、腕の重さとか慣性とか考えて、そのような感覚フィードバックを明示的に扱っている場合には身体性をやってると言えると思う。でもそういう人は必ずしも「身体性」とかいう言い方をする必要性を感じてないかもしれない。
認知と行動とを両方考慮する視点が核なのだな。でも、普通に知覚運動変換をやってる人にも「身体性」という概念は必要がない。一方向でなくてループができている必要がある。それはonlineでループを作っていなくても、学習とかでofflineで回っていればよいように思う。
身体による制約を重視すると、agentとenvironmentの関係を取り扱うことになるので、自己-他者とか社会性とかも含むことになる。
「身体性」って機能に関連した概念ではないからなあ。「注意」「意志決定」「動機付け」みんなある種の機能として捉えられる。「社会性」ですらコミュニケーションみたいな機能として捉えるからあまり迷わない。「身体性」って言葉はじつはある種の立場の表明を含意している。でもそういうこと言ってコワモテにすると門戸が狭まるので、強調するつもりはない。
じつは講演者選びの時に村田さんと相談していたのは哲学者を呼んで「身体性」について歴史的経緯も含めて語ってもらう、ってのを考えていたんだけれど、バランスとか人数とか考えてけっきょくそのアイデアはボツにした。
いろいろ書いたけど、じつのところ、定義にこだわりはない。参加希望の方は、講演者の顔ぶれを見て、この人たちと議論がしたいと思った人は臆せずどんどんポスターを出していただけたらありがたい、というのが結論(予定調和的!!!)。懇親会費も安くします。では岡崎にて!
研究会web サイト: http://www.nips.ac.jp/%7Emyoshi/workshop2010/index.html


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