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■ Saliency mapとbayesian surprise (1)

というわけで平行して予習というか勉強も。
セミナーでsaliency mapについての紹介をやりました。ストーリーとしてはこんな感じ:
1) Ann TreismanのFeature integration theoryを持ってきて、画像の属性ごとのFeature mapとそれらをlocationごとに統合するmaster mapという心理学的概念があることを説明する。
2) Koch, C., & Ullman, S. (1985) Human Neurobiologyで、Treismanの概念にインスパイアされた形で、Featureごとのsaliencyを計算した複数のFeature mapから、それを統合して二次元平面上のsaliencyを計算した、単一のsaliency mapという計算理論的概念を提唱。
3) Itti, L., & Koch, C. (2001) Nature Reviews Neuroscienceなどで、この概念が実際の画像分析に応用可能な形のcomputational modelとしてimplementされる。
4) Gottlieb, Kusunoki and Goldberg 1998 NatureでLIPに視覚情報ではなくてsaliencyをコードしているニューロンがあることを報告。Saliency mapという概念が単なるcomputationalなconceptではなくて、脳で実際に表象されている可能性を示唆。
5) FEFやV4などでもsaliencyをコードしているニューロンの報告が続く。「単一の」saliency mapという概念の変更が要求される。
6) いくつかのグループが対論として、Saliency mapがFeature mapとは分離されないモデル(Li 2002)や、Saliency mapは存在せずにFeature mapのみでattentionが操作されるとするもの(Desimone and Duncan 1995)があるとするものなどがある。
7) しかしそれでもげんざいのところ、bottom-up attentionをいちばんうまくモデル化できているのはItti-Kochモデルではなかろうか。
こんなかんじ。Bayesian surpriseについては次回。
追記。Vikingさんのところからトラックバックで来ている記事でより深く展開してますのでそちらのぜひご覧ください。
ヒトのimagingでのsaliency mapの検証はないのか、という話題はセミナーでも出ました。Vikingさんも書いているように、これはそれぞれのニューロンごとにコードされている属性と受容野がわかった上で議論しなければならないので、imagingでは難しいわけです。つまり、imagingでsalientな刺激に活動する領域が見つかったとしても、さらにそれがどの属性であるかに依存せずにsaliencyを表象している、ということを示さなければならないわけです。そうしないとそれはfeature mapの方になってしまうわけですから。というようなことを答えました。ま、そこまで言ってしまうとニューロン記録でも無理なわけですが。ちなみにME Goldbergの論文はKoch and Ulmanはreferしていなくて、"saliency map"という概念そのものと対応させるような論法は使っておりません。

コメントする (1)
# viking

先ほどupdateしたばかりなのに、さっそくTBまでいただいてしまってありがとうございました。
Goldbergの1998年のNatureはKoch & Ullman (1985)は引用してないんですね。今pooneilさんのご指摘を受けて改めて読んでみましたら、Triesman (1980)とWolfe (1994)は引用してありました。こちらの文脈を意識した、ということなのでしょうか。


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