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■ Goodale and Milnerのつづき

5/30のCorreggioさんのコメントへの返答からの続き。
解剖学的にはRocklandが示したようなinferotemporalとparietalの結合もありますね(Cerebral Cortex '03 "Inferior parietal lobule projections to anterior inferotemporal cortex (area TE) in macaque monkey.")。とくにparahippocampalというのはventral pathwayにあるようでいてかなりdorsal系っぽいイメージを私は持っています(dorsalとventralの収束点としての海馬、というのも重要な観点ですし)。また、機能的に言っても、parietal系はけっこういろんなshape selectivityを持っていること(Nature '98のLIP ("Shape selectivity in primate lateral intraparietal cortex.")JNP '00のAIP ("Selectivity for the shape, size, and orientation of objects for grasping in neurons of monkey parietal area AIP.") )を考えると、dorsal pathwayにかなり形態識別に関わることが出来ることも考えられますし、そのようなshape selectivityへのventral pathwayの寄与も興味深いです。また、そもそも注意をつかさどる回路自体がparietalとventral系とのinteractionであるというのが重大なことかと考えます。
私自身は、「意識のneural correlateをどこかの領野に同定する」という欲望を押さえつつ、「sensorimotor coordinationと分かちがたく絡み合っていて、個体の行動までを含めた総体としてしてしか捉えようのないものとして意識を捉えたい」と考えております。患者DFさんのような意識なしでのaction、というもののステータスをもう少し考えてみる必要がありそうです。たとえば、DFさんは途中からそういう乖離状態になったのであって、もともとは意識と行動とがマッチしている時期があったわけです。もしそのようなマッチングがなければそのような乖離状態はありえない(スリットというものをを知覚によって理解できない状態でどうやってカードを入れることが出来るであろうか)、というあたりをとっかかりに。

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# Correggio

出張やらなんやらで返事が遅くなってしまいました。parietalには,texture gradientの情報ももっていますし,さらにはSTSaからbiological motionの情報ももらってるかもしれません。pooneilさんの意識のとらえ方には共感を覚えます。blindsightの物体に手を伸ばしてつかめるというのも,やはり特殊な条件ではないかと思います。

# pooneil

お返事ありがとうございます。そうですね。STSaからのbiological motionというあたり面白そうですね。この間のMiall論文でもSTSからPFへ行く流れを逆モデルの一部として捉えていましたね。ParietalがSTS、F5、S1/S2、MT/MSTからの情報の集積地であるということがparietalの機能を規定している、という視点も必要ですね。(その点でperirhinalはinferotemporalおよびhippocampusさえ考えておけばよいようなところがありますが、本当はもっといろんな領野とのネットワークとして捉えられるべきなのでしょう。)


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