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■ Nature Neuroscience 5月号

Nature Neuroscience 5月号
"The fusiform face area subserves face perception, not generic within-category identification." Nancy Kanwisher。
これは延々Gauthierとやっているface area論争のつづきだ。Humanのfusiform face area(FFA)は顔刺激の呈示によって選択的に活動する領域で、顔の認知に専門化した領域であると考えられていた。しかし、人間にとって顔というのは非常に特殊なカテゴリーであるだけではなくて、非常に微妙なパーツの違いの組み合わせから人間は個々の顔を見分けてしまう(われわれは個々の人間の顔を見分けるようには個々の花や昆虫を見分けられない)。つまり、FFAの選択的活動はそういった「習熟」したobjectを処理していること自体の反映である可能性があった。そこでGauthierはカーディーラー(車を見分ける専門家)やバードウォッチャー(鳥を見分ける専門家)などの場合にはそれらの車や鳥によってこのFFAが活動することを示した(非専門家は車や鳥によってFFAが活動することはない)。ほかにもいくつか論文を出して、FFAが顔の認知のための領域であるというよりは、そういった微妙な見分けが専門化されたwithin-categoryのobject(objects of expertise)に対して活動する領域であることを示唆した。
そこでKanwisherによる反撃。顔のidentification taskを被験者にやってもらって、そのperformanceとFFAのfMRIでの活動のtrial-by-trial varianceを調べると、performanceとFFAの活動とが相関していることがわかった。つまり、FFAの活動は実際の顔認知に関わっていることを示している。*1一方、花や家などを見分ける専門家がそれぞれ花や家などを見分けるときのperformanceとFFAの活動には相関が見られなかった(fig.7)。Performanceと関連していたのはoccipito-temporal sulcus / inferotemporal gyrusだったり、medial fusiform gyrusだったりした。というわけでKanwisherの結論はFFAはそういったwithin-categoryのobjectのidentificationには関わっていない、やはり顔認知と関係ある、とするものだった。
実はFig.7を見ると、鳥の専門家の場合、鳥のindentificationのperformanceはFFAの活動とも相関しているのだけれど、まあ、それよりはmedial fusiform gyrusとの相関のほうが強いから良しとしましょう。鳥にも顔があるし。


*1:つまり、単に活動しているかどうかよりもより機能的意義が高い。


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