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■ Nature Neuroscience

"Microstimulation of visual cortex affects the speed of perceptual decisions."
Shadlen @ University of Washington。
ShadlenはむかしからNewsomeといっしょにやってたmotion stimuliを使ったperceptual decisionの実験系を研究している。この実験系では、ある方向に動くランダムドット(a)とその180度反対方向に動くランダムドット(b)とが重ね合わせて提示される。たとえば(a)が右方向、(b)が左方向とすると、(a)の点が100%で(b)の点が0%のときは動物は右であるとジャッジする。しかし、(a)の点が60%で(b)の点が40%だったりすると全体として見える動きはambiguousになって、何割かの試行では左である、と間違えてジャッジするようになる。このようなジャッジ(=perceptual decision)がMTニューロンのスパイクと対応していること('89 Nature)、それからMTを電気刺激すると刺激した位置に合わせてジャッジが変化すること('90 Nature)などを彼らは示してきた。これはニューロン活動と知覚とを結びつけた研究の金字塔であり、ヒューベル、ウィーゼル以降のシステム神経科学の中では一番ノーベル賞に近い仕事であると私は考えている。
"Cortical microstimulation influences perceptual judgements of motion direction."
それで、これまで彼らはそのジャッジの結果(=正答率)だけを主に解析してきたのだが、今回の論文ではそのジャッジまでにかかる時間を解析しだした、というのが今回の論文の内容であり、なんで今までやってなかったのか、という驚きもある。
で、かれらはこのdecision processに、ある方向をコードするニューロンとその180度反対方向をコードするニューロンとが互いにinhibitionしあう"Motion opponency"メカニズムがあることを彼らは提唱してきた。この考えの特異な点は、それが単なるwinner-take-all rule*1ではないということだが、今回の論文の結果はmotion opponency説をsupportしていると彼らは書く。
なお、私自身は、彼らがsignal detection theoryの解析に向いた二方向のジャッジ、という実験系を選んだことがmotion opponency説への偏向を生んでいるような気がしていて、いまいち信用できないと思っている。


*1:方向をコードするMTニューロン(それぞれは360度全ての方向のどこかを担当している)の出力をどこかが受け取って、一番大きい出力を出しているところをジャッジの材料にする。


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