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■ ASSC出張終了

無事発表を終わらせました。でもって次の日丸一日参加して、翌日早朝6時53分ラスベガス出発。中継地のサンフランシスコでこれを書いてます。
ポスター発表の方は2時間割り当てられていて、一部屋に40枚のポスターが貼られて、けっこう混雑した状態で行われました。残念ながらKochとStoerigとは話を出来ず。というかポスター会場にいなかったような。でも、同年代か若いくらいの人たちがたくさん来てくださって、ひじょうに面白がっていただけたのでとても勇気づけられました。こちらについては次回に。
講演はキーノートのときはひとつの会場で、他のオーラルセッションに関しては二つ並行して走らせるというかんじで基本的にはほとんどすべての人が同じ場所にいます。全部で300人くらいでしょうか。ほどよいサイズと言えます。
今回の大物はガザニガとデネットでしょうか。ガザニガのキーノートがあって、その次の日にガザニガが言ってた話(splitted brain関連)に関してコメントするという内容。スライドがほとんどないので理解に苦労します。英語英語。Global workspace theoryに関連させて、「いくつかの感覚や認知的内容がcompetitionをしてwinnerが意識に上る、と言うとき、そのwinnerは元のものからなにか意識を付与された何者かに変容するのではなくて、"it just wins"なのだ」(超いい加減理解)、というあたりは"Consciousness Explained"から繋がるデネット節というふうに理解しましたが。
ポスター会場はかたや心理学、かたや現象学、というかんじで混ざっていていいかんじだったのですが、哲学者と話をする機会を充分に活用できなかったあたりは残念。ジョン・サールもアルバ・ノエもいなかった。残念。
Implicit perceptionをきっちり定義して心理物理やイメージングを行う、というのがひとつの大きなトピックでした。前述のSnodgrassらの議論、subjective thresholdとobjective thresholdのどちらを使ったらよいのかという論争がありましたが、Luis Pessoaはimagingに応用させて両方使って比較する(type I, IIのROCの両方を使うとか)というアプローチなどをしていて、かなり仕事が進んでいる様子でした。ここに私が神経生理学を加えようというわけです。
二日目の夜はスペシャルセッションで"the magic of consciousness"と銘打って、、ラスベガスの有名マジシャンがそれぞれのマジックを披露しながら、マジックがいかに意識と注意の操作を意識して作られているかということを議論しました。単なる余興のマジックショーではなくて、マジシャン自身が実演しながらどうやって注意をそらしているかということを説明して、その後で研究者から質疑を行うという形式です。これはよかったです。気が利いてる。VSSでも研究者それぞれが開発したillusionなどをプレゼンする「デモナイト」というのがあったのですが、あれもよかったです。サイエンスを楽しむという形式は、なにか国内の学会や研究会などでもうまく取り込めたらいいなあと考えたり。
んで"the magic of consciousness"に話を戻すと、プレゼンターのひとりのTellerは説明用のハンドアウトを作ってきていて、「actionとはintentionを持った動きのことであり、人間は他者の行動のintentionを読み取ることができる。たとえば混雑した町で人と人がぶつからないのはお互いに他者のintentionを理解しているからだ。上手なマジシャンは観客にそのようなintentionを読み取らせる(誤解させる)能力に長けている」(超意訳)みたいなレクチャーをしていて、これはかなりアカデミックな雰囲気なわけです。
ちなみにTellerはPen and Tellerの片割れで、ラスベガス空港にも大きく看板が出ているような有名人。ふだんはデブのPenがしゃべってる横にいるチビで無口ないたずらっ子キャラという感じらしくて、本人がしゃべってるのを見て観客の中からTellerがしゃべってる!と歓喜の声が。でも普段を知らない私にはわからないのでした。
最後に長老的存在として、日本でも有名なジェームズ・ランディが出てきて、縄抜けのマジックを披露。白髪にあごひげ。引っ張り出されてきた観客のひとりがダニエル・デネットでこちらも白髪にあごひげだったもんでなんかいい絵が。写真とっとけばよかった。
これで私の参加は終了。学会はもう一日続きますが、早めに帰ります。
総評:幅広い分野の人が集まるというメリットをあまり生かせなかったのは残念。大物がポスターを見てくれなかったのも残念。しかし、同年代の志を等しくする研究者との出会いを持つことができたこと、これはなにものにも代え難いことでした。参加してほんとうに良かったです。来年は台湾で開催ですが、ぜひまた参加したいと思います。
次回に続きます。


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