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■ PNAS 12/21

Jonathan R. Wolpaw, and Dennis J. McFarland "Control of a two-dimensional movement signal by a noninvasive brain-computer interface in humans" OPEN ACCESS PNAS 101: 17849-17854 [EndNote format]
12/11にAOPに言及したやつが出版されました。OPEN ACCESSです。
もういちど。脳表からのEEG記録による非浸襲的な方法(BCI: Brain-computer interface)を使うことで、浸襲的な方法(Miguel NicolelisやAndrew SchwartzなどによるBMI: Brain-machine interfaceで電極を脳に埋め込んでニューロンの活動からカーソルなどを動かす)に匹敵するぐらいの正確さ、速さでコンピュータのカーソルを動かすことに成功したとのこと。
詳細はよくわからないけれど、adaptiveな方法でこれまでよりもカーソルの動きの正確さなどを上げているらしい。二次元の動きなので自由度が二つあればいいわけだけど、Fig.1を見るかぎり、ある被験者では脳波の24Hz成分のパワーを記録して、記録部位の2点(第一次運動野/第一次体性感覚野あたりの電極を左右2点)間でのパワーの比の大小でもって垂直成分のコントロールに使用しているらしい。同様にして12Hzの成分でもって水平成分のコントロールをすると。んでカーソルの動きを計算するときの重み付けを練習を積む段階でそれまでの試行のエラーを加味してオンラインでadaptiveに変化させてゆくと。なんか書いているだけだとかなり原始的な感じはするのですが。
被験者としては二人の脊髄損傷の患者と二人の健常者とで行っています。正しい位置までカーソルを移動するのに脊髄損傷の患者で1秒くらい(すでにBCIを使ったコントロールの練習をたくさんしている)、健常者の被験者でも2、3秒くらいで移動することができています(Fig.2)。この脳波によるコントロールは筋電図とは相関していない(Fig.3)と。健常者ですら。これはニコレリスとかのBMIとかでも見られる現象だけれども(被験者ははじめのうちは自分の手を動かしてカーソルを移動しているけれども、そのうち手を動かさなくてもいいことがわかると手を動かさずにカーソルだけを移動させるようになる)。
見た限りmethodologicalにはそんなに大きなブレークスルーがあったようには見受けられないのだけれど、かなり実用度は上がっている様子です。
ムービー(2.9MB mov)もダウンロードできます。ってなんでmovだけですか。QuickTimeインストールしたくないんだけど。mpegとmov両方あるようにすべきではないでしょうか。というわけでムービーは見てないです。
というわけで詳細は読んでいないけれども、なにによってそれだけ速く正確にカーソルを移動できるようになったのか、そのあたりを読むべきでしょうな。


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