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■ ガヤScience article論文

つづき。昨日書いたことをもうちょっと違った言い方で書いてみる。Cortical songのような高次の構造や長いsequenceの有意性を検定するためには、multiでrecordingしている人がやっているように、時間方向に膨大なデータが必要になるのではなかろうか、という直感があるのだ。

あるrepeating tripletが繰り返されるのが有意であるかどうかは、三次元でのjoint PSTHをあるcellの発火を基準にしてガンガン重ね合わせて作ることで確かめられるのではないだろうか。

以前、中原裕之さんと甘利先生のNeural Computation '02 "Information-Geometric Measure for Neural Spikes."を読んだことがあるのだが、高次のjoint-PSTHでのcorrelationの有意度検定にも使える。細胞a,b,cのcoincidence firingをpabcで1がfirngあり、0がfirngなしとして、p000, p100, p010, p001, p110, p101, p011, p111(全部の和が1になる)と書くと、三次の相関の大きさを

thetaabc = log( (p111p100p010p001)/(p110p101p011p000) )

として計算すると、細胞a、細胞b、細胞c、それぞれのfirng rateとは独立になる、というのがNeural Computationの情報幾何からの帰結だった。この式はもちろん、同時発火でない場合でも使える。Information rateを計算するときにはなんか外界の刺激のonsetにあわせてalignして作るのだろうけど、こういう場合はどっかの細胞の発火でalignしてしまえばよいだろう。データに重複があるときの独立性の問題とかがある気がするが、よくわからん、そんなこと気にしてたらspike-triggered averagingなんて出来ない気がするし。

三次の項ですら八通りの確率を充分正確なものにするのに膨大なスパイク数が必要になる(しかも時間遅れの組み合わせが爆発する)。ガヤがやっている話の場合は、スパイク数はそんなに多くないが、記録細胞の多さをたぶん活用しているということらしい。しかし、直感的には多くのspikeを含んだsequenceほど、そのdetectionと有意度検定にはものすごい数のspike数が必要になる気がする。もちろん、今回の論文はinformation rateのような定常的なデータを出すのとは別なことをしているのだろうし、直感的には、ということでしかないのだが。

Joint-PSTHをイメージしながらもうちょっと違った言い方をすれば、cellA->20ms->cellB->150ms->cellCとかのsequenceの有意度を検定するとき、それがたとえば、cellA->20ms->cellB->140ms->cellCと比べて有意であるという形になっていないという問題なのかもしれない。


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