XTCについて + Zappaについて
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XTCについて
(20240216) XTCのAndy Partridgeがこれまでの曲についてギターを弾きながら解説してくれるインタビュー動画。なにもかもすごいけど、その4にわかりやすいところがあったので紹介。
(いくつか観たカバーバンドが)みんな間違えてるって言って紹介したのが、"The Ballad of Peter Pumpkinhead"のヴァースのコード。ここはD-Gだと思われているけど、じつはGではなくてG69 (32223X)だと。(Andyは自分で発明したつもりだったけど、後日ブラジル音楽でよく使われるコードであることを知ったという。
Respectable Streetのヴァースの2つのコードも解説されてる。これもB-C#7と解釈されているかと思うが、実際に弾いているのは
79987X- 98907X B - C?(1-3-b5-b7-11)
という謎コードだそうな。
そういうわけで急にXTC熱が復活したので、"Complicated Game"のコードを拾ってみた。
XX5033 G(-3) XX4032 GM7/F#(-3) XX4532 D7 XX445X Bsus4(-3) XX444X B XX555X C XX777X D XX4032 GM7/F#(-3) XX5033 G(-3)
Andyは3弦の開放弦gを鳴らすのが好き、3度を削って調性を曖昧にしてる、から推定するとたぶんこんな感じ。C-Dのところでは(曲の全体通して)意図的にベースが鳴ってないので、C/B-D/Bと解釈するのがよさそう。
"Complicated Game"はアルバム"Drums And Wires"の最後の曲。はじめはギター一本と病んでるボソボソ声でスタートするのだけど、最後のヴァースでは絶叫するボーカルにディレイを掛けてぐちゃぐちゃになってフェードアウトする。どうするんだこれって雰囲気で終わるので、この曲をアルバムに配置するならたしかに最後に置くしかない。
世界は複雑系であり、自分の意志でなんとかしようとしても世界の構造の中で毎度の結末へと引きずり込まれる、という正しくも悲しい歌詞に打たれる。
この曲を歌いたいんだけど、ギター弾き語りにはまったく向いてない。スマホ持ち込みでカラオケルームで絶叫するか。
アンディ・パートリッジのインタビューを読むと、彼が音-視覚の共感覚を持っているという話が出てくる。
(作曲で歌詞と曲どっちが先かと聞かれて)「いや、パターンはない(略) ただコードをいじっているだけで、海とか雲とか箱とか、何かを暗示することもある。その点に関しては、私はちょっと共感覚的なんだ。音を聞いて、"おお、これは霧のようだ "とか、"11月の雨の日のようだ "とか思うことがある。多くの場合、歌詞が生まれるのは、そのコードや和音の共感覚的な性質、つまりそのコードが描いている絵を説明しようとしているからなんだ。
「イースター・シアター」がそうだった。土のようなコード、茶色く濁った、上昇するようなコードが、「これは何かが地面を突き上げるような音だ。
楽器の音色が何かを暗示することもある。"Chalkhills and Children "のオルガンの音色のように。冒頭の小さな鍵盤の音は中世的で土俗的な響きだと思ったが、その前の穏やかな高音の和音はまるで浮遊しているような響きで、大地の上を漂っているようだった。いつの間にか、この曲が何について歌っているのかを推論しようとする私の精神的な把握が、歌詞になっていたのだ。」
Zappaについて
上記のAndy Partridgeインタビュー動画の聞き手のChanan Hanspalさん。この人のYoutubeチャンネルには膨大な動画があって、とくにザッパへの言及がすごい。
でもその内容が現代音楽的な話なので、ぜんぜんついていけない。(「ピッチクラス・セット理論」というのに言及していて、このへんから調べるとよさそうだが。)
いくつか観てたら、ザッパの音楽の分析で博士論文を書いたって言ってた。
別の人によるこの動画は私にも分かる内容だった: "Frank Zappa's Favorite Chord Progression"
ザッパの典型的コード進行として、Black Napkins進行というのがあると。
C#m7 (C# dorian) - DM7 (D lydian)
これはなるほどと思った。ザッパのギターソロとかメロディーは、あるときはドリアンで、あるときはリディアンだったりするのは別資料で読んでた。コード進行でスイッチしてたのか。動画では"modal center switching"と表現している。