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北大CHAINの教育プログラムが始まります/講義の構想メモ

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北海道大学の人間知・脳・AI 研究教育センター(CHAIN)に異動して3ヶ月が経ちました。新年度からいよいよCHAINの教育プログラムが始まります。詳しいことはこちらへ:CHAINの教育プログラム

まあいまはどこの大学の教員の方もオンライン講義への対応でたいへんかと思いますが、うちはそれにはじめての講義をデザインする過程がぶつかってしまったので、なかなかたいへんなことになってる。

元々CHAINの教育プログラムについての説明会を行う予定でしたが、こちらはオンラインでの説明会になる予定です。CHAINの教育プログラムwebサイトのwhat’s newのところで最新情報を追加してますので、履修希望の方はそちらの更新をチェックしておいてください。(ちなみに今これを主に更新している「中の人」は私。口調が吉田っぽいところがあるかも。)


さてそれで教育プログラムの中身ですが、まず最初はCHAINのコアメンバーによるオムニバス講義「人間知序論I」からです。人間知序論Iの構成はいまのところこんなかんじ:

私もここで90分授業を2回、第4回「神経科学の方法: 観察と介入」(仮題)と第8回「脳と心の科学」(仮題)を受け持ちます。

そういうわけで現在の講義の構想をメモっておきます。(このブログはいつも構想練ってばっかだな〜)

第4回の方は神経科学入門なんだけど、理系、文系両方に向けての講義なので、「脳を研究するとはどういうことか、脳を調べたら何がわかるのか」という問いに答える形で、神経科学の基礎的な事項を導入することを目指してる(口調変わった)。

つまり、ある心的活動をしたら脳のどこが「光った」というfMRIの図があるけど、それって相関でしかないよね、とか、そもそも「光る」っていうけど何を見ているかというと血流量だよとかそういう話。じゃあ脳のある部分が「因果的に関わっていることを示した」っていうけどそのとき何をやっているかっていうと、脳のある部分を刺激したり、抑制したりということで、損傷研究、薬理的方法、光遺伝学とかについて紹介する。でもこれらはあくまで介入する方法でしかない。(いろんな視覚刺激を見せて応答を計測するのだって介入の一種だ。)

「因果を示す」ってどういうことか考えてみれば、因果推論とは介入ありと無しとの比較という反実仮想に基づく推定であって、因果のノードが外部の刺激から脳のネットワーク、そして行動までのループに広がっていることを考えれば、因果を「直接的に示した」みたいな言い方には注意を要することがわかる。

このあたりを突き詰めていくと、脳を局在論的に扱うのではなくてシステムとして捉えるべきだ、という考えにたどり着く。以前ブログ記事で取り上げたNCC(意識の神経相関)ってそもそもなんだったっけ?で書いたことはそれを意識に関わるところまで広げたものだけど、90分でそこまで行くのは詰め込み過ぎだろうから、第5回、6回への橋渡しを意識して導入するマテリアルの分量を調整する。

第8回の方はオムニバス講義の総まとめ的な位置づけで、第1回の田口さんの哲学から始まって、第2,3回でのモデリングを経由して、4,5,6回あたりでいったん神経科学寄りになって、ふたたび7,8回で神経科学とモデリングと哲学を合体する、みたいなかんじで考えてるので、こちらは第7回の宮原さんの講義の内容を引き継いだ上で話ができるようにと考えてる。基本的なアイデアは昨年行った「エナクティヴィズム入門一週間コース」(北海道サマーインスティチュートで開催)で使ったマテリアルからエッセンスを抜き出してということになりそう。こちらについては以前ブログ記事で構想練ってるところについて書いたけど( たとえば「エナクティビズム入門一週間コースをやります/エナクティビズムっていったいなに?」)、講義内容の方はまだまとめてないのでそのうちスライドをアップロードする予定。

これらの2回の講義では到底伝えられないであろう部分をきっちりやるのが、来年度の私の通年の講義ということになりそう。そういうわけで、ぜひ北大CHAINの履修しに来てください。(PR表記)

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