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シンギュラリティサロンでの講演動画を公開しました

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シンギュラリティサロンが行っている講演会はこれまでの講演者が浅田稔さん、大泉匡史さん、渡辺正峰さん、津田一郎さん、金井良太さん、とよく知った方たちで、常々わたしも見に行きたいと思っていたのですが、今回この団体の設立者である神戸大学名誉教授の松田卓也先生からお声をかけていただいて、私も講演を行ったという次第です。

まず大阪にて5/28 「シンギュラリティサロン #34」、それから東京にて6/8 「シンギュラリティサロン @東京 第31回公開講演会」、どちらもタイトルは「自由エネルギー原理と視覚的意識」でいきました。

基本的な話の流れは神経回路学会誌の解説論文「自由エネルギー原理と視覚的意識」に準拠しておりますが、ここ最近のFEP再勉強の成果(こちらのページにある資料をご覧ください)でいろいろアップデートを加えました。

このときのスライドから、著作権のある画像の差し替えや飛ばしたスライドを削るなどして編集したものをspeakerdeckにアップロードしました。下に埋め込んでおきます。(20220822 SlideShareに引っ越し)

それからあと、東京 第31回公開講演会での講演映像を参加者の方が撮影くださいましたので、そちらを元に画像の編集などを行ったものを公開します。こちらは質問部分の削除などを行って54分に切り詰めてあります。

講演の方は90分の予定のところを質問込みでオーバーしつつ100分くらいか、さらにそのあとの質問も盛り上がって会場の予約時間を使い切りました。いろいろ有益なコメントをもらったが、金井さんからFEPを意識に理論にするには、という観点でコメントしてもらったのと渡辺正峰さんと思った以上に考えが近いことがわかったのがよかった。

金井さんと話ししていて明確になったのは、FEPはIITのexclusionに対応するものを持ってないし、それを付加する必要があるのでもないということ。FEPがいろんなレベルで(ミクロ、マクロ、即時、発達、進化)多重に成立することのほうが重要で、その境界もマルコフブランケットで決めるというよりは、オートポイエーシス的にそのsensorimotor loopの動作とその内在化によって決めるべき。つまり、agentと環境とが作るsensorimotor loopおよびそれの内在化というVarelaのいう関係的なドメインを作るわけで、その境界は拡張しうるし、他者と共有される。これがFEP自体の性質としてある。でもなぜそれが一つの個人として成り立つ(ように感じられるのか-仏教的に言えば)のか、FEP自体の性質に付加して考える、いう方向性ではないかと考えた。

講演でも言ったように、FEP+現象学で考えているのは、意識の構造についての理論であり、意識の内容についての理論ではないのだけど、そこでIITを参考にしながら、意識のunityの問題になにか言えるのかとか、意識と生命が独立しうるのか(life-mind continuity)とか、何についての理論なのかということを明確にしてゆくのがこれからの方向ではないか、これが金井さんからのコメントに対するとりあえずの答え。

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