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■ Nature Neuroscience 11月号

  • "Messing about in memory." Richard G M Morris & Michael D Rugg。このあいだのEichenbarmのROC analysis論文の解説。やっぱり通したのはRGM Morrisだったらしい。ヒトで海馬損傷でrecollectionの成分が障害を受けてROCカーブが対照的になる。ラットでも海馬損傷でROCカーブが対照的になる。だからってこの変化がrecollectionによるものなのかどうかは充分な証拠があるわけではない、というようなことを以前私は書きましたが、ここではもっと明確に書いてあります。つまり、「(1)recollectionがある人ではROCカーブは非対称的になる、(2)ラットではROCカーブは非対称的になる、ゆえに(3)ラットにはrecollectionがある」、こういう三段論法は間違っていると。それはモグラが四本足でラットも四本足だからモグラとはラットのことである、という論理と同じくらい間違っていると。そりゃそうだ。しかしそれでも彼はこの論文を評価しているわけです。 私はこの論文はヒトでの現象学的報告をラットでの行動実験にフィードバックさせ、それをまたヒトでの実験に適用してゆく、という研究パラダイムの現れとして評価しようと思っているし、そのようなやり方はClaytonのepisodic-like memoryのような純粋に行動的なcriteriaを立ててやるやる方とは相補的なものである、という感じに考えているのですが(このへんをこんどの大学院講義での結論として持ってくる予定)、Morrisはべつにそういうことを考えているわけではなさそうです。

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